シミュレーション結果

更新世後期(1万5千年前)から更新世末期(1万年前)

狩猟採集人口は初期の600万人から約837万人に増加し,これはHassanの記述にある800−900万人という水準に対応した結果が得られた。また,人口増加のパターンとしては,潜在狩猟採集地に余裕のある1万4千年前ぐらいまでは,食物利用率の改善が,そのまま,狩猟採集地の拡大に反映され急速な人口増加を示す(r=0.07 %) が,その後は,潜在狩猟採集地の比率後が低下し拡大が困難となり,人口増加率が急速に低下(r=0.002 %),人口は停滞傾向を見せ始める。しかし,更新世末期には狩猟採集地比率は77.9%まで,また,人口密度は0.11人/km2まで上昇する。

 さらにHassanが指摘している更新世末期の気候変動による食料資源生産量のゆらぎの効果を計るため,バイオマスの回復率に年間1%程度の振動を与え,バイオマス生産量が徐々に上昇する操作を加えたところ,総人口は907万人程度まで増加した。(r=0.003 %,狩猟採取地比率=82.2%,人口密度=0.11人/km2)