土地利用

総人口の増減を受け,狩猟採集地や農耕地の面積を計算する。面積の拡大は,基本的に,人口増加数,面積を拡大する物理的スピード,空間的余裕の三つの要素により決定される構造を考えた。

 このモデルでは地球上で人類が居住可能な最大面積を設定する。また,農耕は,当初一部の地域で起こり,他の地域へと拡大したと考え,狩猟採集地域(農耕が発生しなかった地域)と農耕発生地域の二つを想定した。

狩猟採集地域では,初期の段階でキャッチメント・テリトリーとして利用されていた面積を狩猟採集地とし,これを地域の総面積から除いた部分を潜在狩猟採集地とした。また,狩猟採集地の標準的な拡大スピードをHassanに従い増加人口1人あたり年間9km2と設定し,これが潜在狩猟採集地の減退にともない低下すると考え,潜在狩猟採集地比率を逆数とする,拡大率倍数(最大1最小0)を設定,両者の積に人口増加数を掛け,年間の拡大面積を求めた。

 一方,農耕発生地域では,土地利用を,農耕発生以前の潜在狩猟採集地と,潜在農地(=狩猟採集地),農耕地の三つに区分した。農耕発生時点までは,狩猟採集社会と同様のメカニズムに従い潜在農耕地(=狩猟採集地)が拡大する。しかし,農耕開始とともに,この拡大は停止し,これに代わって農耕地の拡大が始まる。農耕地の拡大は,人口増加分を支えるのに必要とされる面積と考え,1km2あたりの純収量を1人あたりの生存必要穀物量(230穀物相当kg/人/年)で割った値に人口増加数を掛けて求めた。また,農耕地は潜在農耕地が0となった時点で他の地域へと浸食拡大する。